カラートラッピングは、アパレルの装飾(スクリーン印刷)業界を始めとするさまざまな印刷における重要なポイントです。スクリーン印刷業者にデザインを提出する前に、アーティストはチョークやスプレッド(トラップ)などを使用した正確なカラー分解を行う必要があります。カラートラッピングには、スプレッド、オーバープリント、またはアンダーカットの手法があり、いずれも色ずれが生じて印刷が不正確にならないよう、オブジェクトに処理を施すものです。テキスタイルのスクリーン印刷で最も起こりやすい問題のひとつに、不正確なレジストレーションがあります。見えてはならない白いアンダーベース(濃い色のシャツへ印刷するための白色での下地プリント)が見えてしまうという問題です。
カラートラッピングを理解し、そのさまざまな手法を活用することで、簡単な設定だけで正確な印刷を行うことができます。ひいては、作業全体のスピードアップを図ることも可能になります。
トラッピングおよびオーバープリントは、CorelDRAW 内で次のような方法により設定できます。文書内で各オブジェクトに対して直接設定するか、[ドキュメントのオーバープリント] ドロップダウン リストの [カラー分解] タブ、あるいは印刷ダイアログの [自動トラッピング] オプションを使用します。カラートラッピングについての詳細は、CorelDRAW ユーザーガイドをご参照ください。
トラッピングの基本手法には、オーバープリント、チョーク、スプレッドの 3 種類があります。注: 一般的に、アパレル装飾業界ではスプレッドがトラッピングとして認識されています。
デザインの際に、オブジェクトにトラップを手動で設定すると、スクリーン印刷されたときに色分解が正確になります。デザインの際にトラップの設定を忘れてしまい、チョークやスプレッドのグローバルサイズがデザイン上の要素のさまざまなサイズと合わなくなることがあります。このような場合、手動による色分解およびトラッピングが有効です。serif フォントの小さい文字に .5 のチョークは適用できませんが、デザイン内のその他の要素には .75 のチョークまたはトラップが可能です。
図 3 では、まったく同じ色またはオブジェクトが重ねられたバット レジストレーションを断面的に示しています。スプレッドまたはトラップの場合、上の色に輪郭が加えられ、下の色より若干大きく見えるようになっている様子がわかります。一方、チョークは下に置かれた色に白い輪郭が加えられ、上の色またはオブジェクトより少し小さくなっています。次のセクションでは、CorelDRAW で手動の色分解にチョークおよびトラップを適用する方法を説明します。このデザイン例では、暗い色のT シャツに印刷されるシンプルなスポットカラー デザインにチョークおよびトラップを追加します。白いアンダーベース(白色の下地プリント)が必要ですが、印刷後に白い部分が表示されてはいけません。
デザインを作成し、最終的な印刷サイズにします。
レジストレーション マークやラベル(インクの色)を追加します。
印刷する色ごとにデザインを複製するか、各色ごとにコピーして新規ページに貼り付けます。
デザインにハーフトーンが使用されている場合は、各色の色版を白黒またはグレースケールに変換します。
オブジェクトのプロパティやデザイン内のオブジェクト配置によって、チョークまたはトラップのいずれかのみが適用可能な場合があります。実際の状況や印刷設備、使用するインクにより、選択すべきより適切な方法が異なります。また、チョークとトラップの両方が有効な場合もあります。根本的に、研究開発および試行錯誤を重ねれば、誰もがすばらしい色分解をできるようになります。
下図に、実際の色版で適用された輪郭を示します。手動の色分解では、トラップまたはチョークに白または黒色の輪郭を使用するといいでしょう。
色分解をフィルムに印刷し、色ずれがないこと、そして最終的にデザインどおりに印刷されることを確認します。